中篇からの続きです。以下の記事も併せてお読みください。
特に英語・数学・国語については、軽くでいいから全範囲を勉強しておくべき
という結論と、その理由を2つまで前回の記事で述べました。続きです。
☆範囲じゃなくても勉強したほうがよい理由
3 腕の良い料理人は多くの包丁を使い分ける
何の話かって?ちゃんと説明します。
例えば図形の問題で、「線分ABの長さを求めよ」と聞かれた場合、
たいていは相似か三平方のどちらかを使います(もちろん例外はたくさんあります)。
問題によってはどちらでも解ける場合も多くあります。
さて、出題する側は、三平方の定理は今年の入試には出せないわけですが、
受験生が使う分には何も制限されません。
相似でも解けるけれども、相似を利用するよりも三平方の定理を使ったほうが楽に解ける問題はたくさんありますから、
受験生としては、使える道具は多く揃えておくべきです。
同様のことは英語にも言えます。
都立高校入試では英検みたいな自由英作文が出題されます。
受験生が関係代名詞を駆使することはまったく禁止されないわけですから、
基本だけでも関係代名詞を勉強しておけば、
内容や語数を整えるのが容易になるでしょう。
4 他の分野の習得が楽になる
例えば東京都教育委員会が公表するところに従えば、関係代名詞は出題されなくても、現在分詞や過去分詞は出題されます。
現在分詞や過去分詞を理解して使いこなすためには、
まずは関係代名詞を理解して使いこなして、
関係代名詞を省略すると分詞になる、
と考えたほうが理解が楽です。
関係代名詞という概念自体をまったく知らない状態で
現在分詞や過去分詞を理解することはかなり困難です。
他にも、例えば三平方の定理は中1・2で学習する平面図形や空間図形の理解を促進してくれます。
5 併願校対策
出題範囲を縮小すると現時点(2020/6/11)で公表されているのは「都立高校入試」だけです。
ただし、他の道府県も追随する可能性は高いので、「公立高校」であれば全国的に出題範囲は縮小されるでしょう。
一方、読めないのは国立や私立です。
さすがにコロナ禍にまったく配慮しないのは世間の顰蹙を買うでしょうけれども、
本音としては全範囲を出題して優秀な生徒を確保したい、と考える学校は多いでしょう。
大学の進学実績は特に多くの私立高校にとって死活問題です。
国立や私立を併願する場合のことも考えて、やはり満遍なく勉強しておくほうが無難でしょう。
6 高校入学後の学習も考える
これは主に進学校にいく生徒さんの話にはなりますが、
大学進学、それも難関大学への進学を考えた場合、
むしろ中学生のうちから高校内容まで先取りしておきたいくらいなわけです。
関係代名詞を知らないまま高校に進学したら、
高校の英語の教科書が読めないことになりますし、
三平方の定理を知らないまま高校に進学したら、
三角比の問題が解けないことになってしまいます。
入試の範囲外の単元を除外して学習しても、結局は高校入学後の負担が増えるだけということになってしまいます。
大学入試の範囲は変わらないわけですからね。
(続きます…)