読書

#読了「夜間中学へようこそ」今こそ考えたい、なぜ人は学ぶのか? その2

前回からの続きです。その1はこちら

☆戦争について

本書は、戦争の悲惨さについても多くを教えてくれます。

少し長くなりますが、おばあちゃんがなぜ子ども時代に学校に通えなかったのかを孫の優菜に語る場面を引用します。

(引用開始)

「家が貧しくて、働いてる子どもだっていた。子どもも働き手だったんだ。働かなきゃ食べていけない時代だったんだよ」(中略)

「戦争が終わったからっていって、1年や2年で元どおりになるなんてことはなかったんだよ。死んじゃった人は帰ってこないしね。父親は戦争に行って、そのまま帰って来なかったんだ。ゆうなは知らないと思うけど、あたしにはふたつ下の弟がいてね。母親がひとりで、あたしたちと体の悪いおばあさんをみてくれたんだよ。母親が働きに行っている間、洗濯したり、ごはんを炊いたり、弟のお守りをしたり、おばあさんの世話をしたりするのは、あたしの役目だったんだ」(中略。おばあちゃんが当時5歳だったことが語られる。)

「ごはんひとつ炊くのも、今とは比べものにならないくらい手間がかかったんだよ。うちは貧しくてガスなんてなかったからさ、木で炊くんだよ。かまどでね。ごはんを炊いて、お汁を作って」(中略)

「洗濯でもなんでも、機械なんてないからさ、みんな手洗いで。冬はつらかったよ。弟はぐずぐず泣いてばかりだし。ちょっとでも時間があるときは、くず拾いをしたんだ。釘とかネジとかを拾って『くず屋さん』に持って行くと、お金をくれるんだ。農家に手伝いにも行った。農家には、わたしと同じように学校に行かないで働いている子が何人もいたよ」(中略)

「あたしはね、学校に行くより、弟の世話をしたり、ごはんを作ったりしてるほうがよかったんだよ。合間を見て働くこともつらくなかった。自分が家族を支えていると思うと、うれしいくらいだった。ずっと、そう思ってた。でもね、あるとき、ごはんを炊きながら、炎を見てたんだ。めらめら薪が燃える様子をさ。そしたら、急に涙がぽろぽろ落ちてきてさ。気がついたらおいおい泣いてた。あのとき、なんで泣いたのか自分でもわからなかったけど、もしかしたら、胸の奥のほうではつらかったのかもしれないねえ」

(引用終わり)

いかがでしょうか。涙なしには読めないと思います。

戦争は、決して美化して描いてはならぬものです。

本書に出てくるおばあちゃんのように、戦後の混乱期で十分な教育を受けられず、小学校で学習する漢字を読んだり書いたりできない、というご高齢の方は実はとても多いのです。

夜間中学の拡充が求められます。

(続きます…)