社会・地歴公民

今こそ考えたい!入試問題が炙り出す「国家の役割」とは?

今日は、2016年 渋谷教育学園渋谷中学校入試問題をご紹介します。

コロナ禍の今、国家の役割についてどうしてもお伝えしたいと思います。

(問題は少しコペル&アヤが作り替えていますことをご了承ください。)

☆問題篇

次の写真に示された長崎県の端島は、海から眺めたようすが軍艦に似ていることから、軍艦島ともよばれています。この小さな島に開発された炭坑が端島炭坑でしたが、1974年に閉山し、その後は無人島になりました。

問題

下のグラフによると、太平洋戦争の終戦直後から数年間は、1人当たり出炭量が、とても少ないことがわかります。これは、働き方の変化から説明することができます。働き方はどのように変化したのか、その理由とともに60字程度で答えなさい。

さあどうでしょう。小学6年生でも解ける問題です。

ヒントは、戦前と戦後で大きく何が変わったのか…?

もうおわかりですね?

☆解答・解説篇

コペル&アヤによる解答例

「戦後になって労働者の権利を守る日本国憲法や労働基準法などができたことで、労働時間が短くなり休日も確保されるようになったから。」(62字)

戦前は、労働者がいくらでも酷使されました。長時間労働や休日なしは当たり前でした。(今もそういう企業は少なくないようですが、法令違反です。「ブラック企業」や「社畜」などの言葉も世間に認知されてきましたね。)

しかし戦後になって、GHQが主導して民主化を行ったこと、新たに日本国憲法が制定されたこと、労働基準法など労働者を守る法律が成立したことなどにより、労働者1人あたりの労働時間が短くなっていったのです。

☆国家の役割

労働人員は1934年に比べ1945年の方が多いにも関わらず、1人あたりの出炭量は4分の1以下に減っています。自民党やネトウヨの好きな言葉を敢えて用いて表現すれば、生産性は4分の1以下になってしまいました。

企業の側からしたら、余計な法律なんか作りやがって、と言いたいかもしれませんね。

しかしそうではないのです。労働者が人間らしい生活ができなければ、身体を壊し働けなくなって、長い目で見たら国としての「生産性」は下がってしまうのです。

もっと言えば、人間の幸福度は生産性とは必ずしも比例しませんね。

かつては、夜警国家とか消極国家といって、国家は自由権さえ保障して、国民に余計な口出しをすべきでないとされていた時代もありました。

しかしその結果、資本家などの社会的強者が、労働者などの社会的弱者を際限なく酷使し搾取する世の中になってしまいました。(日本だけでなく世界的にそうでした。産業革命後のイギリスの工場などを想起してください。)

そこで、国家はむしろどんどん口を出すようになっていきます。いわゆる社会権の保障、福祉国家(積極国家)です。

現在の日本では、例えば労働者の権利を守る労働関連法だけでなく、アパートやマンションを借りている人の権利を守る「借地借家法」、消費者の権利を守る「消費者契約法」など、社会権を保障するための法律はたくさんあります。もちろん、「生活保護法」もそうですね。これらはすべて、憲法の理念を具現化するための法律なのです。

大事なことなので強調しておきます。

国家が介入せず放っておくと、社会的弱者は必ず搾取されます。それを防ぐために、国家は必要な法律を制定するなど、積極的に介入すべきなのです。

歴史的に、これこそが現代における国家や行政の役割です。

世界のどこかには、政治家自ら「生産性」だの「自己責任」だの言っている国があるらしいですが、それは職務怠慢、責務の放棄であり、自らの存在意義を否定しているのと同じです。

☆受験生に一言

自由権と社会権の違いはとても重要です!具体例を挙げて説明できるくらいに理解しておいてください!

国内の世界遺産はよく出ます!今回出題された「軍艦島」は、2015年に世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の一つです。軍艦島だけでなく「八幡製鉄所」も構成遺産に含まれています。

✅「八幡製鉄所」って言われて、どこにあるか言えますか?福岡県の北九州市です。歴史に出てくる地名は、必ず場所も押さえてください。じゃないと、あまり価値のない知識になってしまいます。関ヶ原はどこですか?…そう、岐阜県ですね。

☆まとめ

私が電車の宙吊り広告でこの問題を見たとき、社会権とか国家の役割が如実にグラフで表現されている良問だなと、とても強く印象に残りました。

皆さんはいかがでしょうか。

では、また!

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